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villaln1:悪魔の契約者
薄暗い路地裏で少年は人生最大のピンチを迎えていた。目の前には可愛い女の子……ではなく少し、否かなりヤバそうな雰囲気のお姉様。
「ゔっ、ぉえ、づ、あっだだ……」
まるでゾンビ映画の撮影かの如く、地を這うように、それでいて奇妙な呻き声を上げる相手。姿は綺麗なはずなのに、声や立ち居振る舞いからとんでもない恐怖を煽る存在と化していた。
「おいおいおい、18禁を解禁した俺といえどちょっと刺激が強すぎるってこれは……」
そう引き気味に言うこの少年は先日成人を迎えたばかりの18歳の高校生。名を明星空といった。平均的な背丈と少し明るめの金髪が特徴の彼は、一見するとヤンチャしていそうな雰囲気だが根は至って真面目である。その証拠にこの目の前のゾンビもどきの女性に対しても、どうやって助けようかとそればかり考えていた。
目の前で突然苦しみだしたのを見た後にこの姿だ。何が起こったのかはわからないが、空の中で見捨てるという選択肢は最初からなかった。
「ぐっ、ああああああああ!!!!」
突如叫び出す女性。その体から得体の知れない圧が放たれる。思わず気圧される空だったが、下半身に力を込めて踏ん張ることで何とか姿勢を保てた。女性は叫ぶのをやめると、スッと雰囲気を変える。目は血走り、顔の皮膚はところどころ剥がれていて、それはまるで……人間ではない何かに取り憑かれたようなものだった。
「っはぁ……ようやく体を手に入れた」
そんなことを呟く女性だったモノ。空はただ凝視するばかり。そんな空に気づいた相手はククッと低く嗤い、「随分生きのイイ餓鬼だ」そう言った。
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