天才と呼ばれし娘

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「たまたま年齢が合ったから、3人の中で一番女の色気がない、性格にも難がある、あなたを渋々よ。でも見た目は悪くないですわ。わたくしによく似た美しい金の髪とそのペリドットのような目は素晴らしいのですもの。陛下を騙せるわ」  さらっと失礼なことを言う両親。我が家はクラーク男爵家。一代で築きあげた成金貴族。そのお金で有名私塾にも行くことができ、私は勉強させてもらっていた。 「私、必ず王宮魔道士や官吏になって、出世して家名をあげてみせますから!お願いします!」  出世払いでお願いします!と頼み込んでみる。しかし今回ばかりは私の頼みは両親に聞き流される。 「おまえのその出世払いは聞き飽きた!そもそも陛下のお側にいるだけでいいんだぞ?」 「そんな苦労して勉強しなくていいのよ。にーっこり陛下にほほえみかけなさいっ!あなたがするのは篭絡させることよ?」  両親に私の言葉は通じない。こうなったら、家出かな……と私がチラッと脳裏に思い浮かべると、恐ろしいほどの笑みで母が言った。
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