彼女は宣戦布告する

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 ポットからカップへ琥珀色の飲み物を注いだ。ふわりと香る良いお茶の香りがした。 「女とは常に二面性を持つものですわ。特にそれが危険な場所であればあるほど。どうぞ公爵、お茶を召し上がれ。このカップの柄、素敵でしょう?後宮にあったティーセットを使いましたの」 「これは……」  エキドナ公爵は目を見開く。このティーセットはそう……ウィルのお母様が使っていた物で、お茶に毒を盛られた時、このお気に入りのものだったと、長年、後宮にいるメイド長から聞いた。後宮の奥深くにしまわれていたが、今回、特別に使わせてもらった。  彼は知っている。そう私は青ざめ、動かない公爵を見て、確信する。お茶に手が伸びない。 「この国の王妃自らが淹れたお茶が飲めませんの?」 「随分と今日は好戦的な物言いだな。分をわきまえぬ振る舞いは身を滅ぼすと思うが?先日、ウィルバートもやけに威勢が良かったな」 「この国の王妃は私です。そしてウィルバートが王です。分をわきまえぬのはどちらか明白でしょう」
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