恋の季節はいつでもやってくる

1/4
前へ
/430ページ
次へ

恋の季節はいつでもやってくる

 私は最近、ずっと気になっていた。  恋には疎い方だと思う。国の先を考えるのは好きなのに、どうも恋や愛というものは鈍い。普通の女の子が興味あるものを通過してこなかったからだろうか?それとも人の気持ちは複雑で難しくて先が見えにくいからだろうか?  こんなことを考えてしまうのも、久しぶりにセオドアが護衛についているからかもしれないわね。  そよそよと柔らかな風が部屋に入ってくる。私は窓辺でうたた寝している………ふりをしている。  起きれない。目を開けれない。 「久しぶりに会えて嬉しい」  そう囁くセオドアの声。 「あなたのことを心配していた」  優しくて、労るような……そんな姿が目を閉じていてもわかる。彼がこんなふうに変わるなんて思っていなかった。  穏やかな風は幸せな空気を作り出す。 「身近な所に恐ろしい者が潜む場所にいる」  そうね……私は頷きたくなる。 「どうかどうか……無事でいてほしい。陛下の身を護るのが自分の仕事だと幼い頃より思っている。だからあなたを一番に護れないこと許して下さい」
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加