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「ただいま〜」
「ただいま〜」
「ただいま〜」
「ただいま〜」
「ただいま〜」
広いダイニングに子供たちが入ってきました。
出迎えたエプロン姿のお母さんを
5人の子供たちが満面の笑みで見上げています。
一列に並んでニコニコ
なんて可愛らしい。
1番目のお兄ちゃんは
心配性で甘えん坊の6年生
2番目のお兄ちゃんは
優しい照れ屋さんの5年生
3番目のお兄ちゃんは
賢くてせっかちくんの4年生
4番目のお兄ちゃんは
マイペースな王子様の3年生
そして末っ子は
しっかり者の傍観者の1年生
お母さんは満足そうに子供たちを眺めて
久々に見る我が子の成長を噛み締めていましたが、
「うちの双子の坊やがいない」
4番目と末っ子の間には
2年生の双子がいました。
離島の小さなこの村には学校がありません。
なので、本土の学校で寮生活を送る事が
この村の子供達の常でした。
今日はお盆休み
帰郷の日です。
「お母さん、僕たち一緒にきたよ」
心配そうに1番目のお兄ちゃんがお母さんの目の色を伺います。
「あいつら、ついてこいって言ったのに」
苦々しく3番目のお兄ちゃんが言います。
「うちの双子の事だから
お父さんの畑に寄り道してるんじゃないかな」
2番目のお兄ちゃんがポソっと言いました。
「お母さん、あの子達なら大丈夫だよ」
にっこり微笑んで母親にひしっと抱きついたのは
4番目のお兄ちゃんです。
母親は、こいこいと手招きをして
おとなしくお兄ちゃんたちの様子を見ている末っ子を
呼び寄せました。
と、その時
「ただいまーーーっ!」
「ただいまーーーっ!」
元気な声が飛び込んできました。
みんなは飛び上がると
一目散に玄関に向かいました。
そこには
畑から帰ってカゴいっぱいの夏野菜を抱えたお父さんがいました。
その両脇では、双子が満面の笑みで
なすときゅうりを元気に突き出しています。
すると、突然末っ子が大きな声を出しました。
「お父さんとお兄ちゃんだ!!
ぼく、見えた!!」
「僕も!」
「俺も!」
「オレも!」
「ボクも見えた!」
みんなでワイワイ大騒ぎです。
お母さんは玄関に取り残された
なすやきゅうりを手にとると
「お父さんの畑のなすときゅうり・・」
大切に手にとると一つ呼吸をしました。
そして、シャキッと言いました。
「さあ!みんな!
野菜をお供えしてきてちょうだい」
「お母さん!僕たち馬作る!」
「はいはい、割り箸はそこにあるでしょ」
兄弟が仲睦まじく頭を寄せ合っていると
懐かしい声がふわり・・・
「ただいま」
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