1、インペリアルナイツ

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「あー、退屈ねー。なにか大事件でも起きないかしら?」  ピースフル王国の王都の中心──王城内にある“インペリアルナイツ”に宛がわれたとある建物内の一室にて、そんな物騒なことを呟くは親のコネで騎士団に入団した、この国の第四王女であるシーリ・ガ・ル・ピースフル副隊長。 「は? バカか? この国ピースフル王国は千年もの間、外敵からの侵攻、異常発生した魔物災害さえも、一般国民誰一人として犠牲者を出さずに護り切ってきた軍事大国だぞ? 治安維持も徹底していて国内で大事件なんて起きた試しも無いのが、この国の誇りだ。なのに、その国を治める王族が大事件を望むとか、世も末だな……」  そんな、バカ王女の呟きにツッコミを入れたのはオレ──こと新人騎士ニアル・イーワン。  本当なら文官騎士になって、だらだらと定年まで働いて、退役後は悠々自適な生活を送る予定だったが、なんの因果か、“インペリアルナイツ”なんて、王女のおもり部隊に配属されちまった……。  ピースフル王国騎士団。  かつては、国民達の憧れにして王国軍に入る者ならば誰もが目指した頂き。  しかし、その栄光も今は昔のこと。  以前は国内の各要所に国防の要として騎士団が駐屯していたが、現在は王都にのみしか騎士団はいない。  その理由は実に単純。騎士という象徴がいなくとも、現在のピースフル王国軍は一兵卒に到る迄が優秀だからだ。
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