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軍部のお偉方も昔は騎士が独占していたが、今や逆転し、騎士が軍の上層部に抜擢されるのは騎士団長並びに副団長を除いては稀なこと。
そんな現在は形骸化した騎士団だが、実はかなりの旨味がある職業だったりする。
定年は通常軍属よりも十年も早い三十歳まででありながら、最年少就職可能年齢の十五歳から入団して定年の三十歳まで勤め上げた場合の給金の総額は、同じく最年少就職可能年齢から定年の四十歳まで勤めた軍属の人間の約五倍なのだ!
しかも、文官騎士ともなれば、一般文官よりも仕事量はかなり少なく、それでいて高給が貰えるという、実に美味しい職業だ。
オレはそんな楽ができて高給が貰える文官騎士になることを目指し、士官学校では惜しみなく努力をしてきた。
そして、今日。
遂に、オレは騎士団に正式入団する。
最終面接の時に文官騎士に配属されることを熱望し、面接官にも十二分にアピール出来た自信はある。
入団式は粛々と進み、そして、新入団員の配属先が発表される。
次々と名前を呼ばれ、配属先を叙任される新入団員達。
「ニア──」
そして、遂に、
「──ール・サンスー、汝を文官騎士に叙任する」
……おっと、オレの名前じゃなかった。まったく、紛らわしい、名前しやがって。
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