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数ヶ月後、伊藤が暗殺されたというニュースが世間の耳目を集めた。前代未聞の大事件だった。草壁はSPに撃たれて死んだ。
そして、総理候補の二番手に位置づけていた俺は三十代という異例の若さで首相に成り上がった。
金の山だけでは草壁を説得することはできないと思った俺は策を打った。片岡聡美という実在しない人物が伊藤に酷い目に遭わされたという話を創り上げた。情に脆い奴を涙で落とすことは、他には味わえない愉悦だ。
草壁が殺されて良かったと俺は心の底から安堵した。俺がわざわざ口封じのために殺す手間が省けた。
眉唾物の話も二十億という金の山が疑問を溶かしてくれる。大金の前に人は無力だ。それはプロの殺し屋の草壁も例外ではなかった。
今回の出来事は全て、俺が首相になるための策略だった。俺は二十億と嘘の話でこの国の未来を掴んだ。笑いが止まらないとはまさにこのことだ。
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