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最近、近所の公園には幽霊が出るという噂がある。だから近づかないようにしていたのだが、学校帰りに雨に降られ、近道になるからと、公園を横切ることにした。
その時に遭遇した幽霊。
見た瞬間、怖いと思う以上に首を傾げたよ。
聞いた話では、出るのは『女の幽霊』だった。
確かに今目の前にいる幽霊は、長い髪でスカートをはいている。でもどう見ても、背丈や骨格が男のそれだ。
「…女じゃなくて、男?」
思わずそうつぶやいた瞬間、幽霊が物凄い形相でこちらに迫ってきた。
『誰が男だって?』
頭の中に響く声。相手の態度とそれが恐ろしく、咄嗟に訂正の言葉が口をついた。
「女幽霊が迫ってくる! 怖いぃぃ!」
「判ればいいのよ」
満足そうに笑い、幽霊は俺の前から掻き消えた。
前々から『そういう人』がいることは知っているけれど、最近では、自分は生まれつきの体と心の性別が違うと主張する人が多くなったと聞いたことがある。
あの幽霊もその一人らしい。
死んでもそこにはこだわりがあるのか。色々と根の深い話だな。
性別…完
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