ある夜の恋のゆくえ

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しばらく柴田が何も言わないので、美和は恐る恐る彼の顔を見上げた。 柴田は赤い顔をしていた。 美和は急に恥ずかしくなり、目を伏せる。 「ごめん、私、心狭い。忘れて。 誰にもとられたくないって思っちゃった」 「何それ、すげーうれしいんだけど」 柴田の言葉が思いがけなくて、美和は彼の目を見た。 「そこ、喜ぶとこ?」 「うれしいよ。だって、それだけおれのこと好きってことでしょ」 彼は本当にうれしそうに笑って、美和の頬に唇を押し当てた。 そして、もう一度美和の目をまっすぐ見て、言う。 「イヤな気持ちにさせてごめん。美和さん以外の女の子と二人でご飯には行かない」 「……そんなこと言わせちゃって、私、すごい束縛してるよね?」 「美和さんがイヤなことはしたくないから、今みたいに気になることは言ってよ。もっとワガママ言っていいよ」 ワガママなんて思ってないけど。 罪悪感のようなものを感じて恥じ入る表情を見せる美和を、柴田はかわいいと思う。 『誰にもとられたくない』 そんなふうに思ってくれていた。 美和が心の奥に隠していた気持ちを知ることができて、とてつもなくうれしい。
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