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(二枚目)
こんな手紙が来たので、君は驚いているでしょうか?
しかし同窓会の日の僕たちのほうが、遥かに驚いたでしょう。
なにがあったと思いますか?
起こるはずのないことが起きました。
なんと。
光島先生が、僕たちの目の前で、再び立ち上がったのです。
もちろん僕たちは、驚いたなんてものではありません。
そして先生は、呆気にとられている僕たちに、すっかり平気な様子で、
「ふん、どうした、鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」
と言ったのです。
人間の奇跡というのか、気力の起こした珍事というのか、信じられないことでした。
ちょうど僕は、田所や佐野(覚えていますか?)たち十人くらいのグループから、パーツに分けた先生の廃棄場所についてヒソヒソと相談されていたところだったのですが、驚きのあまり話は中断されました。
同じように、「あたしのところ、先生のパーツを燃えるゴミに出せるかなあ」などと話していた女子のグループも飛び上がりそうになっていました。
すると田所が、震える声で、
「えーと、あの、ええとなんだ、ああそう、そうです、先生、そのつまり、お体の調子は……いかがなんでしょう? 大丈夫なんですか? 痛いとか、苦しいとか」
とマヌケすぎる質問をしました。
先生は、
「大丈夫なわけないだろ!? めちゃくちゃ痛いし苦しいわ! その質問するか!?」
と笑っていました。
僕たちはこれ以上ひきつりようのないほどの笑顔で、相槌を打ちました。
そんなわけはないのに、先生はすっかりあの高校で過ごした頃のように再び元気になったように思えて、僕たちはいつしか、作り笑顔のまま泣いていました。
あの場に君だけがいなかったのが、大変残念です。
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