お茶会のお菓子は

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そんな先輩と二人でどうにかサバトの会場にたどり着いた時には月はもう当に頭の上を越えていた。 今夜の司会を執り行う大魔女に促されてわたしと先輩は輪の中心へと押し出された。 「どうして遅刻した?」 「いや、あのー」 どうしよう! 口ごもる私の後ろに隠れていた先輩魔女のミーニャは、とっておきの言い訳を披露してくれた。 「ワタクシ独りなら間に合っていたのですが、この子が迷っていたのを追い掛けて、助けていてこの時間になってしまいましたのでゴザイマス」 ……しおらしい姿もかわいいですよ先輩。 どよめく会場。 「そうか、迷っていた後輩を助けていたのならしかたあるまい」 ミーニャ先輩、とっておきの言い訳って、これですか。 にやりと笑う顔は私だけに見せてくれるのですね先輩。 お見事、人助けで遅れてしまったミーニャ先輩はおとがめなしで解放、しかし道に迷って遅刻した私は……説教を受けるために隣の部屋へドナドナだぁ。 やれやれ。でもヒトコト言って置かなきゃね。 すれ違った時、先輩に一言。 「お茶会のお菓子はアップルパイで」 【 了 】
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