Newグッド・ジョブ媚薬9部  救い編

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グッド・ジョブ媚薬9部 救い編 鈴森あかりは何度も後ろを振り返って速足で歩いた。 新大久保から高田馬場に向う道路は夜になると タクシーの空車はほとんど走らない 自分のヒールの音だけが響いていた。 後ろからは間違いなく二人の男が追ってきていた。 右に下り坂が見え、それを降りると目の前に ガードがありその先に山手メディカルセンター病院 がある。そこへ行けば人が居る、あかりは確信して 大きなカーブの坂を一挙に駆け下りた。 もう少しそう思った時ガードの手前で 目の前に車が止まった。 「助けて!」 あかりの腕は捕まれ 車の後ろのドアが開けられた。 「いや、助けて!」 「大人しくしろ!」 あかりの顔にナイフが近づいた。 「キャー」 あかりは恐怖で顔を背けて声を上げた。 「待ちな!」 低い声で紺のセーラー服の女が 間に立とうとしていた。 「なんだ。女子高生かよ 黙っていろ!」 「こんなに夜更けに女性を誘拐するなんて、 おまんら許さんぜよ」 「お前、おまんら?どこの言葉だよ。頭おかしいじゃないか? おとなしくしてな!」 男はナイフを女子高生に向けた。 〜〜〜〜〜〜〜 2011年3月11日 東日本を未曾有の災害を 襲った。 それから10年以上も経った現在も未だに 避難生活を余儀なくされている住人がいる……。 「お父さん、お願いがあります」 「またか、亮今度は何の用だ?」 「例の薬が出来ました、それで量産したいのですが  今の工場では作れません」 「わかった、新しい工場が必要なんだな。 計画書を出しておけ」 「製品として公にはできませんが他の薬を含めて、 地元の雇用創出になるかと思います」 「それで場所はどこにする?」 「福島に」 「そうか福島か…」 「文明が福島に忍者村を作りたいそうなので、 その隣に撮影スタジオも作りたいと思います。 忍者アトラクションの他に忍者学校、行く行くは柔道、 空手、合気道、剣道、弓道などの日本武道の 発信基地にしたいと思います」 「なるほどそれならさしずめ忍者パークだな」 「そうですね、温泉も出ますし」 「まぁ、文明なら金があるから好きな事ができるな」 「そうだ、文明は日本に移住するそうです」 「あの男マジで…」 〜〜〜〜〜〜〜 「キャシー、元気ですか?」 亮はキャシーに電話をかけた。 「仕事終わった?」 「はい、これからニューヨークへ向かいます」 「良かったわ、何事も無くて」 「はい一応、ちょっと手を怪我しましたけど」 「えっ、また!」 「すみません」 「それから株の購入代金を確認したので、株の売買契約と 明日取締役会を開いてあなたの取締役就任の承認してもらうわ。 それで日本のランドエステイトの 久保田社長より立場が上になるわよ」 「わかりました。それから福島に忍者パークを 作りますので、よろしく」 「忍者パーク?」 「はい、インバウンド向けの忍者ショーと 忍者学校の運営をやります」 「忍者は受けそうだけど、土地、建物と色々準備がいるわね」 「それが文明が勝手に進めていて土地も 購入してあったのですが、DUN製薬の工場と デジタル撮影スタジオを作ろう思っているので 周りの土地の買収が必要かと思います」 「それなら久保田社長に直ぐに 依頼しないと行けないわね、忍者パークは プロモーションを考えなくちゃ」 「そうですね」 「じゃあ、待っているわ」 「はい」 ~~~~~~~~~ 亮の怪我の治りは早い、 亮は祖父が作った先祖からの秘薬を飲んで育てられ、 病気どころか風邪ひとつ引いたこと無く 病院とは無縁の生活を送っていた。 証券取引所爆発事件で爆弾を持って 川に飛び込んで瀕死の重症負っていた 亮に謎の再生細胞を体内に持った仁が輸血した為に、 亮は常人の何倍もの回復能力が現れていた。 〜〜〜〜〜〜 亮はここ数日の事件で株価が変動する旨を友子と 西に伝えていたが、その確認をしていた。 「亮の言う通り株価の変動を上手く捉えたわ」 友子は明るく答えた。 「良かった、日本に帰ったら、打ち合わせをしましょう」 「はい、お待ちしています、儲かった金額を聞いて驚くわよきっと」 「了解」 亮は緑川五郎、中村和美に も連絡をして行った。 〜〜〜〜〜〜〜 NEL教団の被害者は真由美の父親の柳本の病院だった元神徳総合病院 現在、神戸美蜂病院、新橋の新橋病院で無償治療を 行う事になった、矢上淳子、武坂雅美は麻薬中毒 になっている他に体に多数の傷があり大腿部骨折の痕や 陰部の裂傷、精神障害も患っておりロイド法律事務所と 協議して傷害罪で教団を訴える準備をする事になった。 九条ゆかりに関しては証人として裁判所に出頭する 約束で日本へ帰国する事になった。 ~~~~~~ 「一恵さん、九条ゆかりさんの扱いですが?」 亮は一恵に聞いた。 「帰国して一文字には会いたくないだろうし、 生活もあると思います」 「そうですよね」 亮はゆかりを気の毒に思っていた。 「あのう、亮さんの関連会社て働かせて貰えませんか?」 一恵は真剣な顔で亮に懇願したが亮は悩んでいた。 「難しい話ですね、もうこれ以上一文字の後始末は」 「彼女はとても有能な人なんです。 私が逃げた為に彼女が身代わりになっただけで」 「一恵さん、あなたが献身的に僕に尽くしてくれています。 とても有能で僕にとってなくてはならない人です。 でも九条ゆかりさんは新村一恵じゃ無いんです」 「1度ゆかりさんと会ってください、お願いします」 一恵は目を潤ませて頭を下げた。 「わかりました、話をして希望の職種を聞いてみます。 それから彼女背が高いので何がスポーツをしていましたか?」 「確かバスケットと聞いています」 亮はインバウンドに対応する語学能力の高い人材が不可欠な事、 以前の中国人爆買いから欧米人の食や観光地巡りに 変化している為、商品知識の販売員から総合的な サービスのできる知識のある人材に変化しつつある事を認識していた。 もしも、九条ゆかりが完全に一文字との関係を 断ちたいなら協力は惜しみないと思っていた。 亮の構想では日本人アーティストが海外に 進出するためにはコミュニケーションを 取るために語学力が必要である。 今回選ばれたハワイ合宿組五十人以外にも 他の練習生にも語学勉強してもらって、 ボランティアの街角通訳として 名と顔を知らしめ、マスコミにアイドル通訳と 取り上げられデビューに運ぶ方法を考えていた。
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