救い

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亮は別荘から覗いていたダンサー達を 呼んでミッシェルを紹介した。 ミッシェルは十人とアサシオ二人を立たせ体を眺めていた。 特に真奈美姉の柳本香の全身を見ていた。 「亮あなたも明日から一緒にシャッターを押すのよ良いわね」 「はい」 「あなたを弟子にしてあげるからね」 「弟子ですか…」 ミッシェルはアシスタントを雇っても弟子を取る事は無く 有名な女性カメラマンだった。 アシスタントはあくまで撮影の補助で撮影技術を 盗むが弟子は教えて行く事の違いだった。 「さて、合宿所へ戻りましょう」 亮はミッシェルとアサシオと加橋を乗せて ホテルとキャシーの別荘に向かった。 アサシオを降ろした後、ミッシェルはアシスタントを 亮と加橋に紹介した。 ミッシェルのアシスタントは20代後半の ブロンドとブラウンの髪女性でミッシェルを見ると 背筋を伸ばし立った。 「今回の仕事を依頼して来た、團亮。 私の占有モデルでもあるけど。明日から彼もシャッターを押すわ」 「はい」 二人は亮の写真が数万ドルで売れているを知っていて 催促のオーダーが有るのも知っていたが なぜ亮がシャッターを押すか不思議だった。 「こちらが日本人のアシスタント、雑用係と通訳」 二人は加橋を馬鹿にした目で見ていた。 「私を見る目が冷たい」 「仕方ないですよ。 パリコレのアシスタントに行った男性は雑用で 走り回ったあげく、体を要求されたそうですから」 「男性に?」 「あはは、ファッション、美容関係はゲイが多いんですよ。 逆にストレートが多い日本の方が異種かもしれません」 「じぁ、ミッシェルさんもレズ?」 「それは聞いた事ないです、 とにかく今回の事が勉強になるといいですね」 「はい、もう勉強なっています」 「では、おやすみなさい」 亮が言うとともみが亮に抱きついた。 「私にパワーをください」 「はい、とにかく彼女たちの言葉を聞き逃さないように 集中してください。フランス語訛りがありますから」 「はい」 「亮が部屋に戻ると同時に中村達が入ってきた」 「今日の報告です」 「はい」 「今日ハワイに来たのが マッスルカーブスタッフ、ダンストレーナー、 ボイストレーナー、ヘアメイク、そして モデルのシンディさん、デビッドさん家族と ロビンさんです菜々子さんは明日尚子さんと来るそうです」 一恵は手帳を見ながら亮に報告した。 「日本からは絵理子さんと祐希さん 絢香ちゃんとケイトが見えました。 明日は美佐江さんと千沙子さんと明日香さんと 裕子さんが来るそうです」 「了解です。明日から忙しいですけどよろしくお願いします」 絵理子と祐希と絢香が部屋に残った。 絢香は亮の膝に乗り遊んでいた。 「絢香大人しくしなさい」 絵理子が窘めると絢香はゆっくりと膝から降りて椅子に座った。 「あのさ、亮ってこれからアメリカと日本どっちが長くいるの?」 祐希が聞いた。 「基本は日本だよ。今回特別な用事でアメリカとメキシコに来たけど」 「でもアリゾナとマイアミの仕事もあるんでしょう」 「確かにアリゾナの施設は段階的に出来上がるので早いもので1年後、最終的に出来上がるのは3年後だ」 「そうか、オレンジの方は?」 「新しいオレンジの苗が実を成らすのは1年後、 ただ既存のオレンジはバレンシアの収穫時期が 3月から10月ネーブルが11月から2月通年収穫が できるから問題ない。こちらの手に移ったら ジュース工場の整備、改良をしたい」 「わかった、流通と販売は二人と相談する」 「了解、明日絵理子さんと祐希二人の和服姿写真を撮らせてくれないか?」 「もちろん良いよ」 「じぁ明日」 「亮、絢香が一緒に寝たいんだって」 パジャマを着た絢香が絵理子と手を繋いで来た。 「絢香一緒に寝るか?」 「うん」 絢香はベッドに飛び込んだ。 「絵理子さん絢香急にどうしたんでしょうか?」 「何か男の子の声が聞こえるらしいの」 「それが怖いとか?」 「ううん」 「友達が出来たとかで喜んでいる」 「幼い頃、架空の人物を作って話をする事は良くある話です」 「それが教えたはずの無い英語て話をしているのよ」 「あはは、ひょっとしたらキャシーの お腹の子と話をしているかもしれませんよ」 「まさかね」 「絢香、おしっこしたくなったらパパを起こすのよ」 「はーい」 「いいなあ、亮と一緒のベッド」 祐希が恨めしそうに絵理子と部屋を出ていった。 「絢香、パパもう少し仕事があるんだ」 「絢香も起きている」 机のパソコンに向かう亮の脇に座っていると 「パパ、外にいる男の人誰?」
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