救い

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「有酸素運動は体脂肪を燃焼させますが、 やり過ぎでは胸は大きくなりません。 今日トレーニグメニューがメールで送られます。 効率の良い運動をしましょう」 「わかりました」 由香はホッとして体の力が抜けた。 「小妹、由香さんを送って上げて下さい」 「はい」 すると目の前にバイクが止まった。 「亮が送った方が喜ぶんじゃない」 小妹はバイクを指さした。 「小妹、いつもバイクが来るのか?」 「たまたまよ、マスターの外出事は 仲間がいつもそばにいるから」 「あ、ありがとう」 亮はヘルメットを由香に渡すとバイクを 跨り後ろに由香を乗せて走り出した。 早朝のハワイのバイクで走る快感は由香を 夢心地にさせ、股間に来るエンジンの振動は 肉体的快楽をおぼえさせた。 由香は亮の背中に胸を押し付けた。 5分足らずで別荘に着くと 亮はヘルメットも取らず 手を上げて走っていった。 「素敵!」 ~~~~~~~~~ 亮が部屋に戻ると絢香はおらず パソコンで検索した形跡だけが残っていた。 「絢香のやつもうパソコン使えるのか……」 ホテルのダイニングへ行くと朝日で輝く 海側の外のテーブルにミッシェルとアシスタントが 二人座っていた。 「おはようございます、早いですね」 「ええ、朝日が綺麗なので」 「一緒させていいですか?」 「ええ、もちろん。改めて紹介するわ。ルイーズとアデルよ」 「團亮です。リョウと呼んでください」 二人はしなやかな手差し出し亮と握手をした。 二人はフランス人形のような金髪で透き通るような 白い肌、カメラアシスタントと思えないような容姿だった。 亮が周りを見渡すと室内の1番近いテーブルに ともみは座って何かあったら動けるようにじっと見ていた。 亮がそれに気づくとともみは立ち上がってお辞儀をした。 日本人特有の気遣いと謙虚な態度、亮は好きだった。 ミッシェルはそれに気づくと手招きしてともみを呼んだ。 昨日の不機嫌な二人と打って変わって 笑顔でともみを迎え入れた。 二人の真意は分からないがともみは とにかく亮がくれたチャンスを掴みたかった。 「亮、昨日写真良かったわ。またあなたを撮るわよ。 今度は水着なってビーチでね」 「了解です」 「それと今日撮る女性達はあなたも一緒に撮るのよ、 カメラ持っている?」 「はい、ミラーレス一眼レフを」 亮は中村が買い揃えた何台ものカメラを用意していた。 「良いわね」 亮達五人が話をしていると絵理子達が近くのテーブルに座った。 絢香はいち早く亮に気が付いたが気が付かない振りをしていた。 「絢香パパよ」 「パパお話中だから良いの」 「偉いね、絢香」 祐希が絢香を褒めた。 「今度パパがディズニーランドに連れて行ってくれるの」 「えーつ、いいなあ私も行きたい」 「祐希お姉ちゃんも一緒に行こうよ」 「本当!」 祐希は幼い頃から厳しい育て方をされたので、 ディズニーランドにもユニバーサルスタジオも行ったこともなかった。 「お知り合い?」 絵理子達の目線に気づいたミッシェルが亮に聞いた。 「娘です」 「えっ?」 亮が絢香を手招きすると 絢香は早足で来て ミッシェルの前で カーテシー 膝を折って挨拶した 「Bonjour madam」(おはようございます。マダム) フランス語で言った。 「まぁBonjourmademoisell」(こんにちわ、お嬢ちゃん) 「Merci bocu」(ありがとう) 絢香は礼を言った。 「tres bien」(すばらしいわ) ミッシェルは腰を屈め絢香の頬にキスをした。 「素晴らしいわ、亮の子名前は?」 「ジュ」 亮はジュマペール(私の名前は)と言いそうなので 慌てて絢香の口を塞いだ。 「Ayakaです、はい。絢香席に戻りなさい」 「はーい」 「あちらにいらっしゃるのが絢香さんのお母様」 「はい、隣にいるのが姉です。歳が離れていますが」 「亮の奥さん?」 「い、いいえ」 「焦らなくていいのよ。 フランスでは結婚するのが少ないんだから」 「そうでしたね」
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