救い

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亮はスタジオDニューヨークの事務所に行くと マリアの他玲奈、一恵、小妹そして由香が待っていた。 「遅くなってすみません」 亮が謝るとマリアは会議テーブルを指差し座って話を始めた。 「報告します。スタジオDはMade in JAPANの 品質の良さを売り物に展開してきましたが それが浸透してきて、販売が伸びています」 「ありがとうございます」 「今後は量販品を販売していこうと思いますが 引き続き玲奈さんのご実家で請け負って 頂けるそうですがよろしいでしょうか?」 「了解です、そうなると工場拡張が必要となると思いますが…」 亮は返事をしながら玲奈の顔を見た。 「今開発中のオートカッティングマシーン、 オートソーイングマシーンが完成すれば、 海外生産は必要無くなると考えます。 それまではインドネシア、ベトナム、タイで生産を考えています」 「オートですか?」 「はい、Tシャツでカッティングからソーイング完了まで3分、 シャツが完成まで5分全く人がいりません」 玲奈はニコニコ笑った。 「凄い楽しみだわ。それでコレクションを 開きたいと思います。手始めにニューヨークコレクション からやりたいと思いますので、育成中の 日本人モデルを何人かお願いできますか?」 「はい、是非」 亮が返事をするとマリアは徐に渋い顔をした。 「あなたにひとつお願いがあります」 マリアは顔を近づけて亮の目を見た。 「なんでしよう?」 「あなたは私たちのボスです。もっと我を通してください。 自分の育成しているモデルなら使えと命令してくだされば従います」 「あはは、指示する時は指示します。 ただモデルの場合はまだ育成中なのでゴリ押しはできません」 「では、あなたの育成能力を期待します」 「それとコレクション以外に事業展開に必要な プランがあれば資金を出しますので」 「よろしくお願いします」 マリアが頭を下げた。 「それでは、食事しましょう。エンジェルも ニューヨークに帰っていますので」 「はい」 そこにマギーからバーバラと一緒にニューヨークに着いた連絡が有った。 「マリア、後三人食事追加してください」 「良いですよ。もちろん」 「社長、エンジェルって?」 由香が亮のスーツの袖を引いた。 「マリアさんの娘さんでモデルです」 「そうか、てっきり」 「あれの事は思い出さないでください」 「はーい」 亮の隣にマリアが来て由香の事を聞いた。 「彼女は?」 「アクション女優を目指しているので、今育成中で色々な体験させています」 「へぇ」 「なんですか?」 「どんな女優になるか楽しみだわ。あなたが手潮に掛けて育てる女優」 そこに白頭鷲の国章の入った電話が鳴った。 「ハロー」 「久しぶりだね、ミスター・ダン」 「はい、お久しぶりです」 「君の活躍は陸軍とFBIとDEAから聞いたよ。ありがとう」 「いいえ、とんでもありません」 「それで君にささやかな礼として宴席を用意した。 イレブンマジソンパークへ向かってくれたまえ」 「ありがとうございます」 「では、またな」 「はい」 「マリア、予定変更イレブンマジソンパークへ行きましょう」 「えっ、あそこは何ヶ月も前から予約しないとダメよ」 「まぁ、招待を受けたんです、行きましょう」 「誰に?」 「大統領です」 「あはは、まさか…」 亮はすぐにキャシーを呼んだ。 「マリアドレスコードは?」 「スマートカジュアルで 良いわ」 「スマートカジュアルか…」 亮はみんなの姿を見た。 「マリア、小妹に何か 服を用意して欲しい、由香さんにも」 「わかったわ」 マリアは小妹と由香にワンピースとヒールサンダルを持ってきた。 「えーっ、花柄のワンピース。これじゃ動きにくいよ。 何かあったら蹴りができないじゃない」 「パンツ履いているんだろ我慢しろ」 「当たり前よ、Tバック履いているよ」 「それはやめておけ!」 「なんでよ」 小妹は亮を蹴ろうとした。 「私はなぜ?」 「由香さんの服は安物だったでしょう」 「はい、3990円でした。靴は1990円…」 亮はマギーとバーバラにもレストランの話を伝えた。 30分程で目的地のレストランに到着すると入口でエマが待っていた。 「久しぶりエマ」 亮がエマとハグをすると 由香が睨んでいた。 「十名ほどですか?」 エマが人数を聞いた。 亮はマリア、エンジェル、一恵、玲奈、美喜、 小妹、由香、キャシー、マギー、バーバラと指を折った。 「はい、お願いします」 エマが人数を報告に行った。 「社長、彼女とは随分親しいんですね」 由香が体を寄せて亮に聞いた。 「ん、アメリカではハグは普通の挨拶ですよ」 「そうなんですか…彼女は?」 「大統領の補佐官の下で働いています」 「大統領!」 さっき亮が言った大統領の話に信ぴょう性が出てきた。 「本当に大統領なんですか?」 「あはは、AIだったかも」 そこにドレスアップしたキャシーが来た。 「亮、嬉しい。ここならお友達みんな呼びたいわ」 「今日は仕事のお礼とか言って食事の場を用意してくれました」 「誰が?」 「大統領」 「うふふ」 案内されて入った部屋には 大きなテーブルに食事の準備がなされていた。 そこにエマが来て席に座るように促され手紙を渡された。
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