救い

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「ああ、振られちゃったね」 小妹が後ろから声をかけてきた。 「居たのか」 「当たり前よ。マスターを護るのが私の仕事だよ」 「マスターはやめてくれ」 「じゃあ、旦那様」 「それも止めろ!」 「でも、私もう香港に戻れない嫁にしてもらって日本に永住したいんだけど」 「小妹と闇鬼との関係は知られていないんだから、両親のいる香港に帰って香港大学に入学したらどうだ。かなりレベルが高いぞ」 「私今が1番楽しい。なんかワクワクしてとりあえず日本の大学へ入ってそれから考える。ダメ?」 「わかった、それでいいのか?」 「日本人の彼氏作るから。私より強い男」 「探すの大変だ!」 亮は小妹の顔をジッと見た。 「何よ」 「お前可愛いな、肌もツルツルだし」 小妹は顔を真っ赤にした。 「どうしたの?急に」 「日本に帰ったら、ミッションがある」 「何?」 「女子高生になってくれ」 「えー、亮そんな趣味なの」 小妹はお尻をプリプリさせた。 「いや、女子高生に化けて潜入捜査だ」 「OK、任せて」 〜〜〜〜〜〜〜〜 数日前、原宿の喫茶店で朝倉美代子と潮田佳代子の アサシオコンビが二人の女子高校生と話をしていた。 「ねえ、メンズ地下アイドルってどうなの?」 「とにかくかっこいい」 女子高生は推しメンの写真を 二人に見せた。 「なかなかいけているね」 二人はとりあえず褒めた。 「彼らのいい所はとても身近なの。いつでも彼らが働いている、お店に行けば会えるし」 「お金かからない?」 「ちょっと高いけど、バイトして行っている」 「彼らはメジャーデビュー目指して頑張っているの、 歌も踊りも上手いし今度行こうよ」 「うんうん私レコード会社のプロデューサー 知っているから紹介するよ」 「プロデューサーって怪しいよ、上手いこと言って騙す人が多いって言っていた。働いてお金を貯めて自力でレコードディングしてネット配信して本物のプロデューサーの目に止まってデビューするんだって」 彼女たちは洗脳されているようだった。 元来女性は優秀な子孫を残す本能があり、 優秀な遺伝子を持った男に群がるらしいが 優秀な遺伝子の判断は個人差があり体格が良いもの、 頭の良いもの、経済力も関係する。 推しメンも歌やダンス、ルックスいずれ スターになると言う優位性に惹かれる、 その男に「いつかメジャーデビューする」 と言われ大会場で推しメンがステージに立つ 未来を共感すればひとたまりもない。 尽くす女になってしまう。 アサシオが亮に報告のメールを送った返事は 「帰国まで待て!」だった。 亮はアサシオ二人には危険な事なので 小妹に行かせるつもりだった。 「二人ともお疲れ様、ハワイに着いた何かお土産買って上げます」 〜〜〜〜〜〜 「おお、着いた憧れのハワイ、メキシコのハードな ミッションに比べて本当に天国だ」 三雲が飛行場を出ると空を見上げた。 「浮かれてる場合じゃないぞ、色々とセッテングが あるからな。ホテルに荷物を置いたら合宿所になる 別荘の掃除、それから團家の別荘の清掃確認、 車の手配、コックとの打ち合わせだ」 二木が言った。 「それでコックは大丈夫なのか?」 「大丈夫だ日本語も通じるし腕前も良いらしい。 ダークエンジェルのメンバーだ。メイドの五人も」 「いったい、ダークエンジェルは何人いるんだ?」 「何百人とかいるらしい、潜入する為に それなりのスキルを持っているらしい」 「ヤバい、俺達もウカウカしてられない」 「そうだな」 「俺も何か特技を持つぞ!」 三雲が暫く腕を組んで考えると頭を叩いた。 「ダメだ。特技は人より早く動けるこの肉体しか無い」 「今度ダーク・エンジェルのメンバーの人間と手合わせしたらどうだ。 意外と三雲の方が上かもしれないぞ」 「わかった」 〜〜〜〜〜〜 RRレコードでは日本から来た倉沢菜々子が会議に参加した。 菜々子は昨日よりRRレコードに集まった 日本人に合う楽曲を探す作業していて数百曲を聞いていた。 また逆に日本から紹介すべき曲を持ってきていた。 アメリカンポップは旋律よりビートやべースを効かせ曲が多く、 Jポップは多様性に富んで飛んでおりリズムの重複が少ないく、歌詞を重視する傾向にある。 全く異質な曲を互いの国でヒットさせるアレンジを 考えながら会議が進んだが結論は出ず、 亮が抱えた候補生向けのダンサブルな曲を選び、 その曲に合わせて歌いながら踊るレッスンを してデビューに至る方法をする事に決まった。 「決してKポップの真似にならないように、作り上げましょう」 亮が言うと皆が頷いた。 「ところでどんな女性たちなんだ?」 ニヤニヤ笑った。 「まだ育成中なので」 菜々子が断ろうとすると 亮がプリントを出した。 「これが完成形です」 「今までの日本のアイドルとは違うな、整形か?」 「いいえ、トレーニングと美容施術の成果です」 「アメリカでは少女の様なアイドルは受け入れられない。まぁ、特殊な性癖がある奴は別だが。 彼女達がアメリカデビューすればブレイクは確実だ」 「ありがとうございます。 是非ボーカルトレーナー、ダンストレーナーの紹介をお願いします」 「何人かハワイに向かわせるよ。楽しみだ」 亮と菜々子はと握手をした。 〜〜〜〜〜〜〜 「五十人の女性に囲まれての仕事は興奮するな」 三雲が二木に言った。 「手を出したらあそこを切り落とされて宦官にされるぞ」 昔中国の後宮(日本の大奥) に務める男は性器を切り落とし間違いを起こさないようにしていた。 「そりゃたまらん」 三雲は股間を抑えた。 〜〜〜〜〜〜〜 「亮、九條ゆかりさんとの面談の時間できますか?」 一恵が連絡をしてきた。 「1時間くらいなら」 「では、ランチをしながら ルーセントホテルで」 ニューヨークのルーセントホテルの30階は ラウンジレストランになっており個室に九條ゆかりを呼んだ 「こんにちは。團亮です。色々と大変でしたね」 「はい、ありがとうございます」 「一恵さんが九條さんの事を心配していました」 「私…」 ゆかりは目に涙を浮かべ言葉が出なかった。 「一恵さんは?」 ゆかりが周りを見渡した。 「二人だけの方が良いかと 一恵さんは別室に控えております」
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