第二章 悪の街

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亮は溜まった事務を処理すると久保田郁美に 電話を掛け山梨、福島の進捗状況を聞き頼んでいた ケイトの中目黒のマンションとエマの 住まい候補を聞いた。 「アメリカ大使館は赤坂1丁目なのでエマさんは 赤坂のマンション候補を何件か見つけました」 「わかりました、彼女が来日したら見に行きます」 「それから寮用のラブホテルは物件周りの 環境が悪くて難しいですけど五反田ならなんとか」 「そこを買いましょう。大崎に支社がありますから 何か有ったら対処できます」 「分かりました。直ぐに値段の交渉に入ります」 「お願いします」 「近いうちに打ち合わせをしたいのですが」 「了解です。明日連絡をします」 亮は郁美との電話を終えると 「中村さん僕の着替えは何処に有るか 判りますか?スーツはわかるのですが」 「あっ、一恵さんから預かっています」 中村はワイシャツをロッカーから出した。 「ありがとうございます」 「ネクタイはロッカーの中から 選んでくださいとの事です」 「ありとうございます」 亮は一恵の気遣い感謝した。 一恵はいい奥さんになるだろう亮はそう思った。 〜〜〜〜〜〜〜 亮は着替えると銀座駅から 丸ノ内線に乗って新宿に向かった。   久々に会社帰りのサラリーマンで混雑する 電車に乗った亮は周りの人間に注目されていた。 日焼けして がっちりした体格に高級スーツ身を包み、 戦闘とビジネスで自信を持っている亮の フェロモンが車中を漂っていた。 席に座っている女性は亮を見上目が合うと顔を赤らめ、 隣に立っている女性は スマフォから目を離して亮の顔を見つめていた。 目線に気づき横を向くと 目が合い亮は女性に微笑んだ。 「こんばんわ」 「こんばんわ」 女性は小さな声答えた。 「お帰りですか?」 「はあ」 「お仕事お疲れ様です」 「あ、ありがとうございます」 女性は頭を下げた。 「お仕事頑張って下さい」 「はい」 丸ノ内線が新宿駅に到着してドアが開くと 亮は軽く手を振って降りると その女性が降りてきた。 「新宿にお住まいなんですね」 亮が女性に向かって言うと首を 横に振った。 「中野新橋ですけど・・・」 「ああ、そうですか。では」 亮は会釈をして東口に向かった。 「あのう、連絡先を」 「そうですか」 亮は名刺を女性に渡した。 「株式会社プラウ、社長さんなんですね」 「はい、小さな会社を経営しています」 「連絡していいですか?」 「はい良いですよ」 「私湊杏子と申します。詳しい話はメールで送ります  よろしくお願いします」 「はい、よろしくお願いします」 「今度食事に行きましょう」 「はい、喜んで」 「今日は友人と会うのでこれで」 「失礼します」
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