第二章 悪の街

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男が二木の肩に手をやると それを掴み体を返して 腕を捻り上げた。 「なんだこの野郎!」 後ろから別な男が殴りかかってきた。 粋がっている男のパンチのスピードは恐ろしく遅く 二木は体を返し尻を蹴飛ばした。 「やるのか!」 男が数人集まってきた。 そしてその周りには、野次馬が取り囲み スマフォで動画を撮り始めた。 そこへスマフォを持った少女の上を飛んで亮は二木の 脇に立った。 「二木さん、下手ですね」 「すみません」 「ちょっと待ってください」 亮は次々に飛びかかってくる男達をかわし 後ろに立って尻を叩いて行った。 「これが円の動きです」 「はっ、はい」 亮は怪我をさせる訳にもいかないので 尻を叩くだけだが、馬鹿にされた男達は 興奮していた。 そこへヤクザ風の男が三人野次馬をかき分けて 走って来た。 「何じゃわれ」 「ちょっと彼らのへなちょこパンチを避けて遊んでいます」 「この野郎!へなちょこじゃないパンチ お見舞いしてやろうじゃないか」 三人の中の1番若い男が亮 に飛びかかって来た。 亮はスウェーでパンチを避けた。 「二木さん円の次は前後動きです」 「はい、了解です」 「この人達は反社会的勢力だから専守防衛で大丈夫です。  一発でも殴られたら反撃開始です」 亮は若い男避け二人の男の前に立った。 「次はどちらですか?」 「この野郎」 一人の男が蹴ってきた。 蹴りはバンチよりスピードが遅く簡単に避けられるが 亮は足を掴み軸足を捌いて男の股間を開いた。 「おっ、股関節が硬いそれじゃ蹴りは無理ですよ」 亮はスーツの上着を脱いで二木に渡した。 「二木さんそのスーツ高いんですよ。  汚すと一恵さんが怒る」 「それは大変です。一恵さんは怖いです」 二木はそれをしっかり抱えた。 「さてやりますか」 亮は最後の大きな体の一人を誘った。 「くそ!」 その男は亮にとってはレンジャーの 戦闘員に比べればまるで子供のように見え 周りにいる若者の方がずっと動きがよさそうだ。 亮は男のパンチを避けていると 何人ものの警官が走って来た。 「二木さん手錠」 二木は亮の上着のポケットから手錠を 亮に投げた。 亮はそれを受け取ると体を返しながら 男の右手首に手錠をはめそれを持ち上げ 左手首にはめた。 「なんだこれは」 「はい、公務執行妨害です」 亮は笑った。 「二木さんそちらにも」 「はい」 二木は警察時代に手錠のはめ方を習ったが 実際に手錠を初めてだった。 「もう一つの手錠は?」 「無いです」 亮は股間を痛めて動けない男の顔を見た。 「おい、そこの二人」 警官が亮と二木を囲んだ。 「おい、何をしたんだ」 星1つの階級章を付けた男が亮に話しかけてきた。 「はい、まず自分の所属署と名前を言ってください」 「何言っているんだ。手錠をかけるなんて  お前は犯罪者だぞ」 「巡査部長、もう一度言います所属署と名前は?」 「あんたの名前は?」 巡査部長は亮に言い返した。 「團亮です。身分証は上着の左胸ポケットに  あります。手を入れる事を許可します」 「分かった、手を入れるぞ」 「なんだ、これは偽物か?」 警官は警察の身分証を開いた。 「け、警視 團亮これ本物」 「はい、警察庁警備部所属です。疑問が有るなら  警察庁に連絡をしてください」 「はっ、警視殿」 警察は階級社会で上の命令には絶対である。 高卒で精一杯努力して警視正止まり程度、警視の一回級上だ。 亮や美咲から見れば一階級上に過ぎない。 「いきなり私の部下を襲ってきましたので 対応したまでです。部下は噂のトーヨコで若い女性に 職質しようとしただけです」 「それは問題ですね」 「最初に部下に殴りかかってきた男に聞いてください」 「はっ、直ぐに防犯カメラでしらべます」 「おい、あんたを呼んだ男はそちらで厳重注意した方 が良いぞ。警察に暴力を振うなんてとんでもない話だ」
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