救い

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30分ほどするとロイがやって来た。 「待たせたな、食事しながらどうだ?」 「はい」 ロイは一恵を見て挨拶をした。 「NEL教団の件聞いたか?」 「はい、何か影響ありましたか?」 「いや、好材料だよ。メキシコのドミンゴ逮捕から 一連の流れだろからな。お陰で今度の大統領 予備選は圧勝でドル高と株価が上がるだろう」 「そうですね」 「それで頼まれたオレンジ園の買収だが大丈夫だ」 「ありがとうございます」 「しかし、何故だ? 日本には柑橘類がたくさんあるだろう」 「それが日本のみかんは11月頃から出荷が 始まり2月頃にだいたい終わってしまします。 それからはオレンジ系になってしまいます。 残念なから皮が硬くて御年寄には辛い状況なのです」 「それでどうするつもりだ?」 「フロリダの気候に合った皮の柔らかい 品種を作っています。それまではオレンジジュースを 作って出荷します。絞った皮からはビタミンCと リモネンを抽出します。 これらは製薬会社に大切なアイテムですから」 「ビタミンCは分かるがリモネンは?」 「リモネンはリラックス効果を高めるので入浴剤を作ります」 「なるほど」 「それで収穫したオレンジの輸出をある貿易会社に頼みたいんです」 亮はドミンゴに乗っ取られた ジュリアとイレーヌ姉妹の貿易会社を取り戻し 会社を再建したい旨を話した。 「まあ良いが、そうまでしてやる必要があるのか? ひょっとして彼女たちと関係あるのか?」 一恵は亮を見つめると亮は首を横に振った。 「まあ亮の頼みだ何とかしよう。ただ柑橘類の 新種が上手くいったら、投資に似合った 金額はしっかりといただく」 「了解、ありがとう」 「オレンジ農園の買収5000万ドル、姉妹の親の会社の 立直しに500万ドルも掛からんだろう」 「農園にそんなにかかるんですか?」 一恵が高額な値段に心配していた。 「500aの土地に冷温倉庫、オレンジジュース 工場もあるし決まった出荷先もある、農園を広げて 他に売り先を開拓すれば利益ももっと上がるだろう。 決算書、売上実績、資産評価表は出来ているから目を通してくれ」 亮はナチュラルグリルへの出荷、帝国物産への 出荷また優希に対してエナジードリンクと オレンジジュース新しい提案を考えた。 「わかりました、買います」 「問題は天候不良による不作のリスクなんだが」 「わかっています。干ばつへの対応は出来ますので 1000万ドルの融資もお願いします」 「わかった」 「それで以前から提案があった、移住推進計画は 進んでいますので、優良な顧客の紹介を願いします」 「ほう、場所はどこだ?」 「富士山の見えるところで東京都内まで車で約2時間です」 「なるほど別荘やリモート仕事に向いているな」 「それとアトリエ、ワークアウト (工房にも向いています)既にアメリカンウェブの 支社を作る事は決まっています。詳細は送ります」 「わかった、楽しみにしている。所で亮の今後の予定は?」 「明日からハワイでタレントの合宿です」 「ほう、楽しそうだなあ。私も行くぞ」 「はぁ、でもホテルは?」 「もちろん、ハワイにコンドミニアムくらい持っているさ」 「では、お待ちしています」 「もし有望な娘がいたら投資するからな」 「ありがとうございます」 ロイと別れた後一恵が聞いた。 「移住の斡旋してロイは儲かるの?」 「ええ、彼の顧客は大金持ちばかりですから、 日本に住むための手続きや税金、銀行口座を作る為の 保証金などなど最低でも100万ドルは必要となるでしょう。 また個人的に料理人、メイド、ガイド通訳、 ボディガードを雇うなど派遣業務がありますからね」 「それうちの会社がやるんですよね」 「はい、だからこっちも儲かります」 亮はそう言って何らかの方法で被害に会った アトランタの女子大生の救済をしたかった。 「一恵さん、例の女子大生十二人で ハワイに行きたい希望者聞いてください」 「はい、費用はどうしますか?」 「もちろん大事な治験者ですからこちらで支払います、 ホテルはルーセントで」 「はい、わかりました直ぐに連絡を取ります」 「亮、話がある」 バーバラから連絡が有った。 バーバラとマギーにルーセントホテルのラウンジで会った。 「どうしました?」 「これからの私の仕事だけど」 「はい、インフルエンサーとしてですが何か?」 「それは楽しそうなんだけど、ダークエンジェルの仕事は?」 「あります。日本の詐欺被害額知っていますか?」 「いくら位?」 「3億ドルです」 「何故そんなに?」 「日本人は金があるし人が良すぎるのです。 息子や孫が会社のお金を落としたと言う電話だけで 疑いもせず確認もせずに振込んでしまうんです」 「息子や孫の声分からないの?」 「あはは、そうですよね。風邪を引いたと嘘をつくそうです」 「そんな…」 バーバラは人を疑わない日本人にただ驚くだけだった。
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