救い

9/69
前へ
/84ページ
次へ
「振り込まれたお金は戻らないと言うわけ?」 「たとえ犯人が捕まってもほとんど戻りません」 「どこへ行ってしまうの?」 「日本にある闇の組織です」 「警察は?」 「捕まった犯人からは主犯の名が明かされない事、 法律の抜け穴を使って逃げてしまう事です」 「何とかならないの?」 「今の警察機構では無理なんです」 「しょうがないわね。世界一安全な国だと思っていたのに」 「それでバーバラの力を借りたいのです」 「うん、協力する。しっかり報酬はいただくわよ、 日本に家を買うんだから」 「了解です」 「亮、私はどうすれば良い?」 マギーが聞いた。 「僕とバーバラの繋ぎ役頼むよ。かなり忙しくなるけど」 「了解お兄ちゃん」 「お兄ちゃん?」 バーバラが亮とマギーの顔を見た。 「マギーは僕の妹なんです」 「本当!」 「マギーは養女で團マーガレットと言うんです」 「羨ましいでも奥さんじゃ無くて良かったわ、 やはり本命はキャサリン・ランドね」 「はぁ」 「私もハワイに行くわ。亮が育てるゴッドタレントが見たい、そしてYouTubeのネタにする」 「亮さん、ハワイに行く方増えましたね」 一恵が指を折って数えていた。 「ええ、仕事の依頼した人も結構いますから、整理が大変です」 「はい、そうですね」 「ダブルウイングのスタッフと菜々子さんたちがタレント達の管理をしてくれるはずなのですが…」 亮は不安を感じていた。 〜〜〜〜〜〜〜〜 ハワイ現地時間8時30分 「ダブルウイング様ようこそ、ハワイへ」 二木と三雲がプラカードを持って到着した女性達を案内していた。 「二木さんですね」 ダブルウイングの管理部添田孝次郎が二木に声をかけた。 「はい、研修生五十二名ダブルウイングの スタッフ私を含めて五名計五十七名まいりました。これが名簿です」 「はい、承ります。外に止めてあるバス二台に分乗してもらいます」 「かしこまりました」 二木は亮に到着の連絡をした。 その頃、国内到着ロビーにウエルカムボードを 持って立つ女性達が居た。 「Dan Ryo」 そしてそのボードを持った女性に近ずいて 話を始める者がいて、何人かの列が出来ていた。 10時30分亮がホノルル空港に着きテキパキと動く女性達を見て驚いていた。 「中村さん!」 「お疲れ様です」 「これは?」 「こちらに今回のスタッフがお着きになるそうで、案内をしていました」 「浴衣なんですね」 「この方が日本人と一目で分かると思いまして」 「それは良いですね」 「ただ、無関係の方が声を掛けてくるので困りましたけど」 中村はタブレットを亮に見せた。 「今、到着しているスタッフの名簿です。 ただ先乗りの方や海外からの方、イレギュラーの方は分かりません」 「いえいえ、ここまでやっていただけると助かります」 亮は頭を下げた。 「とんでもありません。明日から母と夏休みをいただきます」 「ああ、そうですか。ゆっくりと休暇を 楽しんでください。ちなみにホテルは?」 「ルーセントです」 「了解です」 一恵と玲奈は中村の金魚柄の浴衣を褒めながら引き継ぎの話を始めた。 一方バーバラは浴衣姿の中村達を撮り、 浴衣姿の女性と話をしている人達にインタビューを始めていた。 「どうしてハワイに?」 「明日から始まる日本人アイドルのトレーニングです」 「トレーニングと言うと?」 「マッスルカーブのトレーナーです」 「あなたは?」 「ボイストレーナーです」 「わお、デビッド・キャンベル。R&DのCEO。どうしてハワイに?」 「私の友人がハワイで合宿をするので遊びに来ました」 「友人と言うと團亮ですか?」 「そうです、彼は私の親友です」 その答えにバーバラは驚きの声を上げた。 その先では亮がハグをして話を始めた。 「亮、息子のダンだ」 ダンを抱いたローラが亮に顔を見せた。 「可愛いなあ」 亮が顔を見せるとダンが手を伸ばして亮の指を握った。 「亮の事気に入ったみたいよ。笑っている」 ローラが嬉しそうに話をした。 「デビッド、亮!」 ロビンが二人にハグをした。 「なんと言う光景」 今をときめくアメリカ経済界の星、 デビッドとロビンが亮を挟んでいる姿はまさに奇跡に近かった。 「三人はどう言う関係なんですか?」 「大親友だ」 「待って私も入れてよ」 ローラが三人に割り込んできた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加