4人が本棚に入れています
本棚に追加
すでに乳児院の責任者から、書類を受け取り『特別養子縁組』の手続きを済ませたふたり。
そして和樹を迎えに来たふたりは、乳児院の応接室に案内された。
緊張する正美……。
それは悟も同じだ。
これからは和樹の人生に責任が伴う。
-コンコン-
ドアをノックする音。
扉が開き責任者と、和樹を抱っこしたスタッフが部屋に入ってきた。
「さあ和樹くん。お父さんとお母さんが迎えに来ましたよ」
「それでは……和樹くんの事をよろしくお願いします」
スタッフから和樹を託され、抱っこする正美。
「正美ちゃん。先に車を持ってくるから」
悟は先に応接室を出て、駐車場から乳児院の玄関まで車を移動させた。
車の後ろの座席には、新品の『ベビーシート』
自宅にはベビーカーやベビーベッドなど用意されているが、それは兄夫婦から譲られた物が大半だ。それは『子供にお金がかかるから節約できる所は節約した方がよい』と言う兄夫婦の好意でありがたい。
和樹をベビーシートに寝かせると、正美もシートベルトをした。そして、やさしい眼差しで……。
「和樹くん……おうちに帰りましょう」
見送る乳児院のスタッフに会釈をして、車は出発した。
最初のコメントを投稿しよう!