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……さて、どうするべきか……いや、するべきことは決まっている。この捲れ上がったスカートを下げて、中が見えないようにすること。こと、なのだけど……問題は、まさしくその手段で。言わずもがな、最善は少女自身が気付いて下げてもらうこと。尤も、その際は僕がいたら気まずいどころではないだろうし脱兎のごとく立ち去るけども。
だけど……生憎、目を覚ましてくれそうな気配はまるでない。幸い、今はここに誰もいないし、見渡す限り人の気配もないけど……でも、彼女の目が覚めるまでこの状況が続くとは限らない。もしも、万が一この状態の彼女を見かけた人が危ない人だったら――
……やはり、ここは女性が通るまで待って、事情を説明しお任せすべきだろうか。……いや、それもどうだろう。性的な関心を示す対象が、何も異性だけとは限らない。女性だから安心、というのは些か早計ではとも思うし……それに、よくよく考えれば必ずしも身体に及ぶ類の危険だけとは限らない。例えば、この状態の彼女を写真に収めた上で脅迫の材料にする可能性も……いや、ほんと申し訳ないけどね。特定の誰かでないとはいえ、大半は善良であろう方々にこうして疑いを向けてしまうのは。
……ともあれ、どうすべきか……うん、もう仕方ないか。
「……その、ごめんね」
届かない謝意を口にし、ゆっくりと彼女へ近づく。そして、その純白の布から極力目を逸らしつつ控えめにスカートの裾を摘む。そして――
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