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「――それでね、陽真さん。昨日、ランニング中に鳩の糞が頭に落ちてきて。気持ち悪いし恥ずかしいしで、もう急いで帰っ――」
夕食の最中、話題が尽きないのか次々と話を繰り出す里李さんに、たどたどしくもどうにか受け答えを続ける僕。……ところで、ご馳走になっている立場で言うことでもないけれど……うん、お食事中に糞のお話は出来れば控えて頂けると。
ただ、そんなことより……うん、一向にこない。むしろ怖いくらいに、一向に何も要求がこない。僕を油断させるため? ……いや、だからと言ってここまでしてくれる必要があるだろうか? いや、そもそもそれ以前に油断させる必要自体まるでない。動画をネタに脅迫するだけで、僕は彼女に従う他ないのだか――
「……どしたの? 陽真さん?」
「あ、いや……」
すると、黙考する僕にきょとんと首を傾げ尋ねる里李さん。……まあ、今はいいか。考えても仕方ないし。
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