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汗か雨かもわからない水滴が、全身を流れ落ちていく。心臓の鼓動はうるさいほどに鳴り止まない。全身が火照り、耳の後ろから後頭部にかけての血管がどくどくと波打っている感覚がした。
近藤はなぜ、こんな大雨の中オープンカーの天井を開き、事故を起こしたのか。理由は車に設置されていたドライブレコーダーの映像を警察が確認して発覚した。
近藤ははなからシートベルトを外して運転していたわけではなかった。事故の直前、彼はアイスコーヒーを飲んでいたという。ドリンクホルダーに戻そうとしたときに手から滑ったカップが足元に転がっていってしまった。アクセルやブレーキの操作に支障が出ると判断したのか、彼はほんの一瞬、シートベルトを外して身をかがませ、カップを拾おうと手を伸ばした。そのときのはずみで天井を開くボタンに体が触れてしまい、大雨が車内に降りこんできた。慌てふためいた彼は気が動転して運転操作を誤り、事故を起こしてしまったというわけだ。
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