帰るばしょ。

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2日後、私とマヒロは退院した。 マヒロは慣れない松葉杖で四苦八苦してる。私は頭を強く打ってるから、慢性硬膜下血腫の心配があるけど、一先ずは大丈夫らしい。飲酒運転の人は警察に捕まって、そちらはこれから追々。 退院してから、私達家族は広島の家に行った。 「ただいま。」 カラカラと玄関の引き戸をあけると、祖母がホッとした様子で玄関までやってきた。 「おかえり。予定通り退院出来てほんまにえかったなぁ、」 「そうだね、」 私達はこう言いつつ家の中にはいると、まず最初に和室に向かった。 そこにあるのは、大きな仏壇。 私とマヒロは、お互い体を支え合いながら仏壇の前に座ると、じっと仏壇を見上げた。 「……ただいま、おじいちゃん。」 ここが、私達の帰るべきばしょ。 そうだよね? おじいちゃん。 「おかえり」と言ってくれる声は、もうないけれど。 でもきっと、おじいちゃんはどこからか、私達がちゃんと帰ってきてるのを見てくれているはず。 おじいちゃん。 ありがとう。 終
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