帰るばしょ。

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涙が溢れて止まらない。 真っ暗な世界。 クラクラする頭。 足が痛いと言う妹。 何一つとして、自分ではどうしようもできない。 でも、私が早くなんとかしないと… 「お姉ちゃん、足が痛いよ、お姉ちゃん、怖いよ、」 だって、マヒロが痛がってる。怖がってる。ああでも、どうすればいいのか分からなくて、 「おじいちゃん、なんで家にいれてくれんのよ、 おじいちゃん……!!」 「チヒロ!!!!」 大人の女性に、名前を呼ばれた。 え? 「私…、」 視界に広がるのは、無機質で真っ白な天井。そして、泣きながら私の名前を呼ぶ両親と祖母。 私は、病院のベッドの上にいた。
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