帰るばしょ。

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「私…、痛っ…!!」 起き上がろうとすると、頭に鋭い痛みが走って。手を伸ばすと、額に包帯が巻かれてる。わけが分からない私を、母が抱き締めた。 「チヒロ、良かった…!!丸二日も目を覚まさなかったのよ!!チヒロとマヒロが東京から広島に戻ってきてくれて、駅でタクシーを待ってた時に、飲酒運転の車が2人のところに突っ込んで…、ああ、良かった、目を覚ましてくれて…!!」 そうだ。 私は、チヒロ。もう27歳で、東京で就職してて、この夏はマヒロとタイミングを合わせて広島に帰省して、その駅で私達はーーー…… 「マヒロ!?」 慌てて辺りを確認すると、隣のベッドに25歳のマヒロが横たわっていた。足にはギプスがしてある。 『お姉ちゃん、足痛いよ』 …あれは、夢? 私が啞然としていると、マヒロの瞼がゆっくりと開いた。そして、涙がポロリと零れた。 「マヒロ!!」 母と父、それに祖母が今度はマヒロのベッドに駆け寄る。マヒロは数回瞬きをして、それから「お姉ちゃん…?」と最初に言った。
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