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「もしかし、て、」
祖母が、声を震わせた。
「もしかしておじいちゃんは、こっちに来たらいけんって意味で『帰れ』って言ったんじゃなかろうか…?おじいちゃんのいる方…死後の世界に来たらダメじゃって伝えたくて。生死を彷徨っとるチヒロとマヒロを、おじいちゃんが助けたんじゃ…、」
じゃあ、もしあのまま、私とマヒロが家に入ってたら、私達は死んでたってこと?
おじいちゃんは、私達に生きていて欲しくて、そのために心を鬼にして「帰れ」って叫んでたの?こっちに来ちゃだめって、一生懸命叫んでたってこと…?
全く同じ夢を、同時に見るなんて普通ありえない。
みんな、目を見合わせて信じられないって顔をしてる。でも、私もマヒロも確かに同じ夢を見た。
「おじいちゃん…、」
涙が止まらなかった。
溢れて溢れて、どうしようもなかった。
もうこの世にはいないおじいちゃん。
そのおじいちゃんが、私とマヒロのために夢に現れて、私達を救ってくれた。
おじいちゃん、
ありがとう、おじいちゃん。
会いたいよ。
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