あまねく平等な

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あまねく平等な

 一人の学生がとんでもない発明をした。そのチョコレートを食べると絶対に遅刻しないという。  瞬く間に全世界に普及し、朝に弱いあらゆる人を救済したはずだった。受験当日の朝、卒論の口頭試問の朝、結婚式の朝に寝坊せずにすむのだから。何時に起きるとかもう気にしなくていい。  チョコレートの摂りすぎで虫歯になる者が増えた。大問題である。歯がなければものを美味しく食べられない。脳の認知機能も下がる。  この問題の解決のため、再び新しい発明が生まれる。それは自律駆動型目覚まし時計。時計が持ち主の時間を適切なタイミングでコントロールする。結果、時間を無駄にする人間はいなくなった。  目覚まし時計は小煩いお母さん役として今日も動いている。もはやぐうたらするという言葉が死語になる。この発明のおかげでヒトの生活が豊かになったかは不明である。
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