羽ばたく

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羽ばたく

「まばたきと羽ばたきって似てるよね」  君の言葉に誰かがアハハと笑っている。  私はそれを、君から三つ斜め後ろの席で聞いていた。  午後の授業まであと七分。私は昼の日差の重さを頬杖ついた左側でボンヤリ受け止めている。  まばたきの分、飛び立った私の好きは君にたどり着く前に教室の床に落ちた。 「あーあ」  思わず声がでる。小さくて気づかれないよと油断した。  君が振り向く。  目が、まなざしが。出逢ってはじける。
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