策略

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策略

 両目の視力がほぼゼロの先輩とは部屋がお隣同士。彼が鈴を鳴らす時は私に助けを求めている時。何か困りごとがあるとベランダから鈴の音が聞こえるのが日常だ。だからつい反応してしまった。  付き合いたての彼氏とは今日が初デート。場所は美術館。当然周囲は静寂に満ちていたわけで、その音は本当によく聞こえた。  チリンチリン。  私は反射的に振り返り、そこに先輩を見つける。  彼氏をその場に残し、先輩の肘にそっと触れてから(しまった)となる。  私はこれで都合三回、お付き合いした彼に振られているのだ……。
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