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秋空
息子は縦列駐車が好きだ。
トミカの話である。
二歳のこどもの短くて芋虫みたいな指のどこにこんな器用さを隠しているのかと不思議になる
息子は、家族の誰とも似ていない几帳面さと折り目正しさをフローリングの一角を埋め尽くすトミカの列で表現している。
私は、錯視をおこしそうなその列にうっかり足先を触れさせ崩したり乱したりしないように気を遣いながら、洗濯ものが山盛りのカゴを抱えベランダに出た。
ヨイショとカゴを置き、曲げていた腰を伸ばすと、澄んだ空と目が会った。
空色としかあらわしようのないその青色の海に、綿菓子をちぎって並べたように雲が整列している。部屋の中の息子のトミカが頭に浮かぶ。
空気には先週までの籠ったような息苦しい熱はもう感じられなかった。
ふう……、私は大きく深呼吸をした。
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