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初恋に再会する
一人暮らしを始めて五年。「ウチを物置代わりにするのいい加減にやめなさい」母の小言に折れ、折角の休みを自分の部屋の整理に費やすことに。
廃墟と化した勉強机の下から埃だらけのリュックが出てきた。中には一冊の本が。君が休み時間いつも読んでいた文庫本。
まさかね、君の本の訳ない。これは私が買った本だ。
買ったけれど、今も昔も隠キャな私はこれをネタに君に話しかける勇気が出なかった。意気地なしの自分と叶わぬ片想いに疲れ果て本は結局捨てたはず。
二時間後。私は少し離れた街の古書店に来た。本を処分する為に。店内に入る。レジにはどこか見覚えのある男性がいた。
彼が私と私が持つ本を見る。ポカンと開いていた口が私の名を呼ぶ。
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