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山小屋に着くと、リタイア組が皆荷物を抱えて外に出てきた。菜実も俺を見つけて大きく手を振る。
「もう大丈夫なの?」
「バッチリ。寝たらよくなった」
柿崎夫婦も隣にやってくる。菜実さんよかったわーと大げさに柿崎マダムは菜実の肩をたたいた。
リタイア組はなんとなく意気消沈しているかと思っていたが、わりに皆元気である。菜実は待ってましたとばかりに興奮気味に話し出した。
「もうね、ご来光がすごかったの。朝早く小屋の人が起こしてくれて。あんな凄い景色はじめて見た」
え?
「ご来光見たの?」
「みんなで見たよ。山小屋からだと、もう真正面にドーンって。ずっと雲がかかってたからダメかもって心配してたんだけど、日の出の直前に雲が全部いなくなって。ホント私ツイてる」
それが上に来たんだって、と思いながらも言わないでおいた。多分、俺以上に柿崎夫婦のふたりが地団駄踏んで悔しがると思ったからである。
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