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これは、とある木こりのお話。
「聖水つけろよー。でないと魔物が寄ってくるぞー」とお父さんはいつも言う。
「準備できてるもん!」
ちょっとだけ怒った。
お父さんがたまにみせる顔とおんなじで、こわ~い顔を作ったんだ。
そしたら……。
どうして笑うんだろ。
頭を撫でられて、なんか余計に怒りたかったけど、お父さんは先に行くもんだから、僕は急いで背中を追いかけた。
今日も、枝打ちに行くんだ。
僕はまだ小さいから、お父さんが枝打ちするのを見るだけ。でも面白いよ。
魔法で高くまで飛んで、ナタをバシバシと振るんだ。
そしたらね、枝が降ってくるの。
ドシンッ!て僕の体が揺れるんだ。
ドシンッ――。
「離れてろよー。潰れて死ぬぞー」とお父さんはいつも言う。
「はなれてるよー!」
何回言われても、僕は怒らないよ。
だって本当に危ないからね。
ぺしゃんこになりたくないもん。
お父さんは僕のことを見下ろして、頷いてくれた。
ハハハ、僕が偉いと思ったでしょ?
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