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お父さんは、あんまり喋らないんだけど、そのぶん顔で分かるんだ。あれは嬉しい顔だね。
僕も嬉しくなって、ほっぺたが自然と盛り上がった。
ナタをベシベシと振るお父さんは、カッコいいなあ。
僕もお父さんと一緒に枝打ちをしたいなあ。
早く大きくなりたいなあ。
ガサガサ――。
お父さんを見てたら、僕の後ろの方でこすれる音がした。
とても小さい音だから、気のせいかもしれないんだけど……。
この辺はアサルトベアが出ると言ってたしなあ。
腕を振るうだけで、人の頭を吹っ飛ばす魔物だってお父さんが言ってた。
俺でも勝てないから、おかしいなと思ったら、すぐに言えって……。
いやでも、聖水をつけてるから大丈夫だよ。
次に音がしたら、その時言えばいいんだよ。
ヒュンッ――。
甲高い音がした瞬間、僕の頭の上を何かが飛んでいった。
おかしいなと思って頭を触ってみるけど、クセのある髪がベタベタしてるだけだ。
虫かなあ?
ヒュンッ――。
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