怪異は時代に合わせて進化する

2/4
前へ
/4ページ
次へ
 え、何それ怖い。  でも確かに、新しい技術が生まれるたびに、それに対応した怪談が生まれてるよね。  呪いの手紙はチェーンメールになったし、ネットを通じて暴れる怪異が出たっておかしくはない。  私が1人で納得してたら、怪異さんが動画を見せてきた。 『見てちょうだい。怪異仲間が作った呪いの広告よ』 「ちょ、やめて……」 <<私はミカ! 大好きな彼氏にデブは無理って言われてフラれてしまいました。悔しさのあまり禁術に手を出してしまい……>>  早口で流れる広告、ヘタクソな漫画、そしてムカつく設定。 「うわマジかよ」  定番のウザ広告、もはや恐怖を感じる。これは呪いだわ。 『だからスマホを買ってみたんだけど……』  この怪異さん、いくつなんだろ。きっと適応できた怪異は一握りで、その裏にはこんな出来事が無数にあるんだろうな。 「無理しなくてもよくない?」 『ダメよ! もはや私の噂をするのは、お年寄りばかりなのよ。このまま単なる山の怪異で終わりたくないの!  ところでアカウントってなんなのかしら』  ダメだこりゃ。でもここで出会ったのも何かの縁、教えてあげるか。  私はアカウントを作ってあげて、ログインのやり方も教えた。 「コメント欄に出没するのはどう? ここを押して、ここに文字を書くの」 『それならできるかもしれないわ! ありがとねお嬢さん!』  怪異さんは嬉しそうに笑って、消えてしまった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加