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怪異は時代に合わせて進化する
今私は、おじいちゃんの家近くの山にいる。せっかく田舎に来たので、少し山歩きをしてみたくなったのだ。
草木の匂いが気持ちよくて、夏なのに涼しかった。近くに川が流れているのか、しっとりとした空気が漂っている。
のんびり歩いていたら、ふと人影が。地元の人かと思ったけど、その人は何かがおかしかった。
背が異様に高く、髪が長い。男にも女にも見える。私はおじいちゃんの話を思い出し、凍りついた。
「あの山にはな、人ならざる厄介なものがいるんだ。もし見かけたら絶対に逃げるんだ」
逃げなきゃ。でも目が合ってしまった。ぎょろぎょろした目のそれは、私に手を伸ばした……。
『ログインってなあに……?』
え?
よく見たら手にスマホを持っている。私は恐怖半分、好奇心半分で答えてみた。
「アカウント名とパスワードを入れるんです」
『え?』
「新規登録ですか? だったらメアドを……」
『わからないわ……』
「じゃあGmailを取得してください?」
『どういうこと?』
「もういい! 私がやる!」
私は思わず叫んだ。おじいちゃんとの会話を思い出す。スマホを見せてもらうと、YouTubeが。
「これだったらログインしなくても視聴できますけど……あの、どうしてこんなものを?」
『怪異仲間に聞いたのよ。ネットできないと怪異は生き残れないって。その子はYouTubeの広告に現れて、呪いを撒き散らしてるって話よ』
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