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終わらせたほうがいいよ。
なかったことにすればいい。
「先生」
「何?」
「……私のこと、本当に好き?」
「うん」
先生は落ち着いた声で、私の目を見てそう答えた。
「……どうしていいか分からないくらい、好き」
「そっか」
私は、笑うしかない。
「なら、しかたないですね」
電車が来て、一緒に乗り込む。
林に隠れて、山が遠ざかっていく。
電車の中は混雑していた。
だから、私は私のお守りを、先生のカバンにこっそりと忍ばせた。
ずっと一緒にいられるように。
おわり
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