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第二章 第三の世界とパラレルパラダイムパラダイスパラパラパーティー
二体と一人は近くの陸に上がっていた。
シロが喋る。
「大丈夫か、みんな。いや、大丈夫じゃないか。かかったから分かる。恐らく私と裏姫がかかった呪いは、木の姿に変えられるというものだ。」
カメは悔しさで泣いている。
シロは続ける。
「恐らくあいつは普通の殺し方では死なない。だが、何とか退散させることに成功した。」
裏姫が口を開く。
「どうやら運命を受け入れるしか無いようね。でも構わない。あなたと一緒なら。」
「…裏姫」
シロは人間の姿になった。
カメはまだ泣いている。
「我はあなた方のことは一生忘れないでしょう。」 「それは良かった。」
「それは良かったね。」
二人は抱きしめ合った。それ以上は何もいらない。
その時二人の体に急激に変化が起こり始めた。
二人の体は木に変化し始め、みるみるうちに成長してゆく。根をはやし、成長過程で二つの本は一つになって交じりあった。背はどんどん大きくなり、約三十mの高さになった。根元の木の大きさは、直径二mほどもある。
この巨大樹は、ここら一帯の土地を見守るように静かに佇んでいた。
夜が近い。
日が沈み半月が輝きを増すと、カメは狼の被り物をした人に変身した。白い狼だ。
彼は木に向かって手を合わせ、近くにあったりんごを木元の置き、被り物の外に水を流しながらその場を去っていった。
長い長い日本の歴史の中の、ほんの僅かな隙間の出来事であった。
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