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第三章 日本怪異伝説
最初は警戒されたが、ヤマトだと分かるとすぐに通してくれた。
「先程の非礼を許してくれとは言わない。しかし、我々にも生活があるのだ。土地がなければ作物は作れないし、我々が餓死してしまう。巨人と人間、わかり合えるはずがないんだ。」
「いいや、大事なのは対話だ。お互いを理解し合おと尊重し合おうとしないから争いが生まれる。しかし、そちらの事情も分からないことはない。」
そう言ってヤマトは、巨大な木を生やせた。
「この木には様々な野菜や穀物や果物が生える。これだけでも巨人族が一生食べていける量だ。」
巨人の頭領は泣いて詫び、感謝した。
「我々生きとし生けるものは、持ちつ持たれつの関係だ。そこで、お前にに頼みがある。」
整った顔してしれっと我々が頼みを断れない状況になったな。おそらくそれが無意識だと言うのだから恐ろしい。
「近々、この列島で大きな戦が起こる。力を貸して頂けないか。」
「分かった。」
巨人は即答した。
ヤマトが次に向かったのは阿良々森。
中へ足を踏み入れると、数々のささやき声が聞こえる。
「誰かやってきたよ。」
「面白そう。」
「いい人そう。」
「何しに来たのかな。」
「遊ぼうよ。」
小さな光る精霊が姿を現してはすぐに消える。
しばらく歩くと、一匹の狐が現れた。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
そう言って狐は後方へ去ってゆく。
ヤマトはそれを追いかけた。辿り着いたのは、深い森の中央の中の少し開けた場所だった。そこに他より少し大きめの木があった。
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