第三章 日本怪異伝説

1/1
前へ
/14ページ
次へ

第三章 日本怪異伝説

最初は警戒されたが、ヤマトだと分かるとすぐに通してくれた。 「先程の非礼を許してくれとは言わない。しかし、我々にも生活があるのだ。土地がなければ作物は作れないし、我々が餓死してしまう。巨人と人間、わかり合えるはずがないんだ。」 「いいや、大事なのは対話だ。お互いを理解し合おと尊重し合おうとしないから争いが生まれる。しかし、そちらの事情も分からないことはない。」  そう言ってヤマトは、巨大な木を生やせた。 「この木には様々な野菜や穀物や果物が生える。これだけでも巨人族が一生食べていける量だ。」  巨人の頭領は泣いて詫び、感謝した。 「我々生きとし生けるものは、持ちつ持たれつの関係だ。そこで、お前にに頼みがある。」  整った顔してしれっと我々が頼みを断れない状況になったな。おそらくそれが無意識だと言うのだから恐ろしい。 「近々、この列島で大きな戦が起こる。力を貸して頂けないか。」 「分かった。」  巨人は即答した。  ヤマトが次に向かったのは阿良々森。  中へ足を踏み入れると、数々のささやき声が聞こえる。 「誰かやってきたよ。」 「面白そう。」 「いい人そう。」 「何しに来たのかな。」 「遊ぼうよ。」  小さな光る精霊が姿を現してはすぐに消える。  しばらく歩くと、一匹の狐が現れた。 「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」  そう言って狐は後方へ去ってゆく。  ヤマトはそれを追いかけた。辿り着いたのは、深い森の中央の中の少し開けた場所だった。そこに他より少し大きめの木があった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加