第三幕

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第三幕

限界だった。 薄々、気が付いてはいたのだと思う。 でも、認めなかった。 認められなかった。 心が、拒絶していたから。 きっと、最後の抵抗だったのだと思う。 味覚がなくなったのも、食欲がなくなったのも、何も感情がわかなくなったことも。 薄氷の上を歩くように、慎重にしているべきだったのだ。 細く張られた糸で、つなぎとめられていただけだったのだから。 本当は、わかっていた。 でも、動けなかった。 これ以上、負担をかけたくなかったから。 いい子で、いたかったから。 いい子のまま、終わりたかったから。 もう、私に、『ただいま』を言う資格はない。 ごめんなさい。 ごめんなさい、お母さん。 ごめんなさい、お父さん。 ごめんなさい、みんな。 ごめんなさ―――
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