第二幕

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ノックの音に答えると、ドアがスライドした。 「美織。」 現れた母は、前見た時よりもやつれているように見える。 「ごめんなさい、お母さん。」 胸が、苦しい。 謝っても、謝っても、足りない。 「ごめんなさい。負担をかけて、ごめんなさい。いい子じゃなくて、ごめんなさい。お母さんとお父さんをつなぎとめられなくて、ごめ―――」 その時、何かが頭を包み込んだ。 遅れて、鼻に入ってくる香りで、母が私を抱きしめているのだと気が付く。 「美織。美織はね、そのままでいいの。私の―――お母さんとお父さんの、大事な娘なんだから。」 「でも―――」 だからと言って、負担をかけていい訳がない。 そんな言葉を、母は抱擁で再びさえぎった。 「いいの。大丈夫だから。愛は、偉大なのよ。」 愛。 わからない。 段々と薄れてゆく意識の中、母のささやき声が聞こえた。 「美織、愛してるわ。今まで気が付かなくて、ごめんね―――」
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