第二幕

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「美織、お母さんの言うことをよく聞いて、いい子にするんだよ。」 いい子に。 父の言葉に、首肯する。 「じゃあ、また会おう。―――美春、美織を頼む。それから、」 父は何か言おうとして、飲み込んだ。 「いや、何でもない。」 両親が離婚する。 このことに、私は何の感慨も―――いや、何の感情も抱かなかった。 もう決まっていたことを、知っていたことをなぞっているだけのような、どこか他人事のような、なんとも不思議な感覚がしただけだった。 これを、おかしいと言うのだろうか? いや、きっと言うのだろう。 自覚はある。 でも、もう、何も感じることができなかった。 まるで、心が凍り付いているかのようだった。 そして、それは永久に溶ける気がしなかった。
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