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黒板に、チョークが白い跡をつける。
「自己紹介をどうぞ。」
「五大院美織です。よろしくお願いします。」
軽く頭を下げる。
担任の早川は数秒こちらを見ていたが、私がこれ以上の自己紹介はしないとわかると前を向いた。
「じゃぁ、空いてる席に着いて。一つしかないけど。」
「はい。」
教室の一番後ろに向かう。
隣の席になる生徒に軽く会釈し、席に着く。
以前なら楽しかったはずの、同年代の子と共に過ごす空間は、もう息苦しさしか感じなかった。
自分がどこか浮いているかのような、居心地の悪い、不思議な感覚がするだけだった。
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