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「敦兄ちゃん、助けて!!」
私の悲鳴にいち早く反応した兄が動き出す。
「茉央!今行くぞぉぉッ!!」
即座に階段の途中から飛び降りリビングまで来た。
駆けつけた兄は、さぞ驚いただろう。
今の私は黒ずくめの男に包丁を突きつけられているのだから。
「な、何だよお前ら!!」
男は兄を見て驚きを隠せないようだ。
私は思い切り、目の前の男の手にかじりついた。そして、相手が怯んだ隙に再び兄の名を叫ぶ。
「敦兄ちゃん、やっつけて!!」
強固な肉体を持つ兄の外見は、とても高校生には見えない。そんな兄が、男に向かって突っ込んで行く。
「うおおおおぉぉッ!!」
兄の太い手が男の襟元を掴み、そのまま壁側にぶん投げる。持っていた包丁は男の手から離れると、空中で弧を描くように飛び、そのままストンと床に刺さった。
「茉央!敦!」
少し遅れて下りてきた母は、荒れ果てたリビングを見て驚きながらも、蹲っている私の元へ駆けつけ迷わず抱きしめてきた。
「茉央、大丈夫?何があったの?……それに、この人は誰?」
男は軽く頭をぶつけ、すぐに立ち上がれない様子だった。その間に、兄と一緒にビニールテープで男の手足をぐるぐる巻きにして警察を待つことにした。
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