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私達がいたのは予定外の事態だったようで、男は納得のいかない様子だった。
ひたすら何かに対し恨み言を吐くので、気になった母が男に問う。
「何なのですか、あなたは!」
「ほ、本当はお前が死ぬはずだったんだ!……でかいガキが二人もいるなんて聞いてねーよ!」
急に物騒な事を言われた母が顔をしかめる。
「はぁ?私が、死ぬ?何で?」
「雇われてたんだよ!あの女から……!この計画が成功すれば、報酬で500万払うって言うからさ!」
「あの女?誰?」
「✕✕✕だよ!!」
「誰よそれ!」
母にとっては記憶にない名前。
しかし、その名前に反応した兄の顔はみるみるうちに青ざめていく。
私はというと、「やっぱりそうか」という感想しか湧かなかった。
その様子にただならぬ雰囲気を感じ取った母が私達兄妹に訊ねる。
「二人はその人のこと、知ってるの?」
顔を見合わせる私達。
そして、兄が重たい口を開いた。
「✕✕✕は、オレ達の……今の母さんだ」
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