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そのまま男は警察に連行されていった。
そして、あらゆる証拠が揃っていたため、間もなく✕✕✕にも逮捕状が出されるだろう。
「二人共、この後事情聴取があると思うんだけど」
「あ、無理ね。私達そろそろ行かなきゃいけないから」
元のあるべき場所に戻らなくては。
私が隣に目をやると、落ち込んだままの兄が俯いていた。
「敦兄ちゃんはね、あなたが病気で亡くなったと思っていたから病気は怖いものだと思っているのよ。そしてパパがあなたのことを思い出すたびに落ち込むから、元気出してもらおうと声を大きく出すようになったの。……だから私、兄ちゃんをその気にさせて、すっごく強くなるように仕向けたんだ。家族を守れるように、強くなってくれるようにってね」
「待ってよ、ここで私が生き残ったら、夫は再婚しないってことよね?そしたら、茉央は……」
そう訊ねてくる彼女の唇は震えていた。
気付いてしまったのだろう。
「うん、産まれてこないね」
私は、きっぱりとそう答えた。
「なら、どうして」
「私のママも、凄く後悔していたから」
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